本日は、一条工務店が発表した新キャンペーン「2倍耐震仕様住宅」について説明いたします。
このキャンペーンはオプション代を払うことで、家の耐震性能を建築基準法の2倍という耐震等級5相当に向上させ、かつ地震で半壊、倒壊したときに一条工務店がその住宅を補修、建て直しを行うというものです。
それでは、詳しく説明していきたいと思います!
1.今回のキャンペーンの解説
このキャンペーンは2020年3月頃からモニターとして、3月契約の何人かの施主に声をかけ始まったようです。
そして、先週の一条工務店labのyoutube配信でも公表されました。
ただし、詳細説明はあまりなく、ほとんどの施主がこのキャンペーンについてあまり詳しく知らない状況です。
1)2倍耐震仕様住宅って何?
まずは、今回のキャンペーンの肝となる「2倍耐震仕様住宅」について解説いたします。
建築基準法の耐震基準では、震度5強程度でほとんど損傷しないこと、震度6強程度の地震で損傷は受けるが倒壊しないことを基準として定めています。
そして、耐震等級制度で、耐震強度は許容応力度計算と保有水平耐力計算を行い、上記耐震基準を満たしていれば耐震等級1、耐震基準の1.25倍であれば耐震等級2、耐震基準の1.5倍であれば耐震等級3と定められており、現在地震に強い家を建てようとすると、耐震等級3を満たした住宅を建てることが必須とされています。
今回一条工務店が掲げた2倍耐震仕様住宅は建築基準法の耐震強度の2倍の住宅となります。耐震等級は3までしかありませんが、もしそれ以上を規定するなら、耐震基準の1.75倍が耐震等級4、今回の2倍耐震住宅は耐震等級5となります!
2)2倍耐震はどのように作られるのか
では、一条工務店はどうやって2倍耐震仕様住宅を作るのでしょうか。
(1)ミッドプライウォール
最初のキーワードは「ミッドプライウォール」です。
ミッドプライウォールとは、カナダで開発された枠組壁工法用に開発された高強度の耐力壁です。
強度のある構造用の合板を表裏から木枠で挟み、釘を打ち付けることで強度を向上させています。
このミッドプライウォールと外壁、従来の耐力壁を組みあわせることで、家全体の変形を抑えることで、2倍耐震仕様を達成することができるのです。
(2)2倍耐震専門チームによる強度計算
ミッドプライウォールに加え、2倍耐震仕様住宅では、専門チームによる強度計算がなされます。
専門チームに強度計算を委ねることで、迅速な対応と、確実に基準を達成できることを目指すようです。
3)2倍耐震仕様住宅を建てる条件、制約は?
(1)対象者
2020年3月契約の方からモニター採用の声がかかっているようです。
今後、どのように採用できるようになるかは定かではありません。
強度計算の性質上、間取り打合せが進んでいると変更は難しいと思いますが、気になる方はこちらから聞いてみてもいいかもしれません。
(2)適用できるラインナップ
勘の良い人はお気づきでしょうが、今回ミッドプライウォールという枠組工法用の耐力壁を用いて、耐震基準の達成を行うため、2×6工法のi-smart、i-cubeであることが条件となります。
(3)オプション価格
現在正式には決まってないようですが、さらぽか、ハイドロテクトタイル程度となるようです。
つまり坪単価3,000円前後となるようです。(正式な情報ではないので、ご注意ください)
(4)制約
この2倍耐震仕様住宅には様々な制約が発生すると考えています。
①建築スケジュール
専門チームによる強度計算が必要となるため、通常の工期と同じでなくなる、打合せペースが速いor遅くなるなどの制約がでる可能性があります。
②間取り制限
ただでさえ一条ルールと多くの人が言っている間取りの制限が更に多くなるのは間違いないと考えます。
なぜなら一条ルールの多くは2×4工法で耐震強度を高めるために行っていることで、今回は2倍耐震仕様という更に高い基準を目指すためです。
考えられる間取りの制約は、大きな吹き抜けの採用不可、窓の大きさ、個数制限、1部屋の大きさ制限などです。
4)半壊、全壊時の補償について
(1)補償対象
このキャンペーンの補償対象は、2倍耐震仕様で建てた住宅のみです。
つまり、門、塀、アプローチなどが家が倒壊したために、損傷した場合にも補償されることはありません。
(2)補償条件
補償される条件は、地震、または地震による建物直下の地盤の地割れ、または不同沈下により、全壊、半壊をした場合です。
ただし、地震に起因して、当該地盤を含む周辺の広範囲の地盤に、地盤変形が生じて建物が損壊したとき、倒木や飛来物、地盤からの噴出物、津波や火災によって建物が損壊したときは対象外となります。
つまり、一条工務店の地盤調査、基礎工事が正しく行われ、強度計算を満たして建てた場合に、カバーできる損傷のみが補償されるという内容です、
また、全壊、半壊の判定は、市町村による「羅災証明書」。「住家被害認定調査票」にて判定します。
(3)補償期間
補償期間は30年です。また、一条工務店の長期保証加入中にのみが補償期間になるため、30年の耐震補償を有効にするためには、一条工務店の長期保証を30年間加入し続ける必要があります。
また、その期間中に一条工務店以外の業者にて建物の改修工事を行った場合にも補償の対象外となります。
対象内であれば、相続した場合にも、一条工務店が認めれば補償の権利は継続されます。
(4)補償内容
補償内容は、全壊時は建て替え、半壊時は補修となります。
また、建て替え、補修内容は現状回復とし、費用の上限は建物建築当時の建築工事請負金額となっております。
そして、建て替えの場合、建物の仕様は建て替え時に選択可能な仕様のうち、損壊した建物に最も近いと一条工務店が判断した仕様となります。
つまりi-smartⅡが損壊した場合、i-smartⅤがでていれば、i-smartVでの建て替えとなるはずです。(i-cubeⅢが近いと一条工務店が判断すればそちらになりますが。。。)
また、補修工事の内容は、一条工務店が判断し、決定することになります。
しかも、損壊した建物の解体・撤去費用は補償されません。
そして、この補償は1棟につき、1回のみの適用となります。
2.私の見解
とりあえず、クロクマはこのキャンペーン(オプション?)は採用しません。
理由は、
採用しない理由
- 一条工務店の現在の耐震性能に満足している
- 補償内容が不透明なため、オプション価格、間取りの制約に対してメリットが多くない
- これ以上、間取りの制約があると変形地で作るクロクマはしんどい。。。
耐震性能が良いに越したことはないですが、金額に見合った条件で一条工務店を選んでおり、その価格帯のメーカーの中でも(鉄骨、木造関係なく)一条工務店の耐震性能はトップクラスだと感じました。
また、補償内容が無条件の建て替えでないため、補償された場合にも後悔が生まれそうだったので、やめました。
無条件建て替えでなくても、通常の地震保険よりも絶大なメリットがあると感じますが、そのメリットは間取りの制約を受けてまで採用する価値を見出せませんでした。
また、変形でのi-smartのため、そこそこ間取りの制約を受けながら、いい家を目指して打合せをしているため、これ以上の制約で満足のいく家づくりはできないと判断しました。
一条工務店の施主は、大なり小なり、耐震性能のため、間取りの制約を受け入れているため、これ以上の間取りの制約を受けても、さらなる耐震性能の向上を目指す方もいると思います。
そして、今後も一条工務店が耐震性能の向上を目指すということこそが多くの人が一条工務店で建てたいと思うメッセージになるのではないでしょうか